第15章 外来生物法 -第2次指定種と特定外来生物の飼育許可後の手続き-

 外来生物法については、この「蛇足」でも、既に3回にわたって取り上げてきましたが、その後新たに規制対象種とされたものがあるなど、追加すべき情報がいくつかでてきました。そこで、今回は、第2次指定による規制対象種のリストと、特定外来種の飼育継続が許可された場合に行うべき手続きとについて、取り上げてみたいと思います。

A: 第2次指定特定外来生物

 2005年6月1日より施行された外来生物法で規制対象とされる「特定外来生物」と「未判定外来生物」、および輸入の際に種類名証明書の添付が必要となる生物の種類については、既に「蛇足」第30章と第31章においてご紹介したとおりです。今回、第2次の選定作業が行われ、06年2月1日より、以下のカエルが新たに特定外来生物、未判定外来生物および種類名証明書の添付が必要となる生物として追加されました(ただし、当店で取り扱う爬虫両生類、クモ類に限定)。なお、特定外来生物、未判定外来生物および種類名証明書の添付が必要となる生物について、具体的にどのような規制が設けられているのかについては、「蛇足」第30章および第31章をご参照ください。

特定外来生物 未判定外来生物 種類名証明書の添付が必要となる生物
コキーコヤスガエル
Eleutherodactylus coqui
オンシツガエル
Eleutherodactylus planirostris
コキーコヤスガエル
オンシツガエル
キューバズツキガエル
Osteopilus septentrionalis
キューバズツキガエルを除く
ズツキガエル属(Osteopilus)全種
ズツキガエル属全種
シロアゴガエル
Polypedates leucomystax
シロアゴガエルを除く
シロアゴガエル属(Polypedates)全種
シロアゴガエル属全種
ウシガエル
Rana catesbeiana
ブロンズガエル Rana clamitans
ブタゴエガエル R. grylio
リバーフロッグ R. heckscheri
フロリダボッグフロッグ R. okaloosae
ミンクフロッグ R. septentrionalis
カーペンターフロッグ R. virgitipes
ウシガエル
ブロンズガエル
ブタゴエガエル
リバーフロッグ
フロリダボッグフロッグ
ミンクフロッグ
カーペンターフロッグ


B: 特定外来生物の飼育継続の許可についての補足

 外来生物法では、ペットとして特定外来生物を飼育することが原則として禁止されています。ただし、法律が施行された2005年6月1日より前から飼育されているものについては、環境省に申請して許可されれば、その個体一代に限り飼育の継続が可能となります。この申請に必要な書類や申請の方法、必要となる施設の条件等については、既に「蛇足」第32章でご紹介したとおりです。ここでは追加記事として、飼育継続許可の申請を行い、許可証が発行された後に、飼育者が行わなければならない手続きについて補足説明していきます。

 飼育継続許可の申請が受理されると、(1)許可証、(2)特定外来生物の取扱方法の説明、(3)遵守事項の説明、(4)個体識別措置に関する書類(「様式3」)とその記載例が、環境省より送られてきます。

 (1)許可証には、申請年月日、許可番号、特定外来生物の種類と頭数、許可証の有効期限(許可の日から5年間)が記されているほか、個体の譲渡や死亡などによって数量が減少した場合には、30日以内に環境大臣に届け出ることなどが明記されています。

 (2)「特定外来生物の取扱方法」と題された文書には、許可を受けた施設以外で飼育してはいけないことや、施設の掃除や修繕の際に一時的に他の施設で飼育する場合などの注意点が記されています。また、カミツキガメについては、危険な生物であるため、第三者の接触等を禁止する旨の標識を掲出することとされています。

 (3)遵守事項の説明では、まず基本事項として、あくまで申請書に記載した目的と施設での飼育に限られること、ペットとして飼育できるのは許可を受けた個体1代限りであること、繁殖は認められず、仮に産卵した場合は殺処分すべきことが、改めて明記されています。

 さらに、遵守事項の説明では、許可証を交付された後に行うべき手続きとして、許可を受けた日から30日以内に個体識別措置を実施することが挙げられています。この個体識別措置とは、個体にマイクロチップを埋め込むことを指しています(ただし、体力のない幼体や老成個体を除く)。例えば、カミツキガメを例にすると、左後肢の皮下に国際標準化機構が定めた規格11784号および11785号に適合するマイクロチップを埋め込み、獣医師より、チップを埋め込んだ事実と、そのチップの識別番号とを記載した証明書を発行してもらい、それを添付して環境大臣に提出することとされています。

 ただし、このマイクロチップの埋め込みによる個体識別措置は、05年6月1日の時点で、チップの埋め込みを実施できる獣医師がすべての都道府県に存在していないため、「全国的な実施体制が有る程度の公平性をもって確立されるまでの間は」、チップの埋め込みをすぐに実施する必要はなく、代替措置によって個体識別措置を行う(下記の(4)にて説明します)こととされています。ちなみに、環境省としては、「平成18年6月1日までを目安に全国的な実施体制の整備を図り、その上で、マイクロチップの埋込の義務づけを一律に実施する予定」であるとしており、そのために環境省のウェブサイトには、「マイクロチップ埋込み技術マニュアル」と題された獣医師向けのページも用意されています。

 余談ですが、このマイクロチップの埋め込みは、06年6月1日から施行が予定されている改正動物愛護管理法における特定動物(危険動物)についても適用されることになっています。おそらく同法の施行日を期に、特定外来生物へのチップの埋め込み義務をも合わせて徹底してしまいたい、というのが環境省の考え方であるようです。しかし、仮にウェブサイト上の技術マニュアル等によって獣医師への知識の普及が十分に行われたとしても、やはり飼育者の立場からすると、これまでに埋め込みを行ったことがない(あるいは、その経験が乏しい)獣医師の手に、大切な飼育動物を委ねることにはかなりの抵抗感があることもまた事実でしょう。特にカミツキガメや、今後危険動物として適用されることになるビルマニシキヘビなどの大型個体については、埋め込みの際に麻酔の使用も必要になってくるだけに、その分個体にかかる負担やリスクは大きくなるはずです。そもそも全国的に見ても、爬虫類を診察できる獣医師の数自体が依然として非常に限られている現状を考えてみると、賞味1年にも満たない準備期間で、環境省が考えるような体制(もちろん、それは飼育者にとっても十分安心できるだけの、確かな技術と経験に裏付けられたものである必要があります)を整えることが果たして可能なのかどうか、疑問を抱かずにはいられません。爬虫類と言えども、飼い主にとってはどの個体もかけがえのないペット(家族の一員)であるという重い事実を、十分に踏まえたうえでの体制作りが、何よりも必要なのではないでしょうか。

 (4)個体識別措置に関する書類(「様式3」)の記載例には、当面マイクロチップの埋め込みが義務づけられない代わりに行うべき「代替措置」の方法が説明されています。この代替措置の方法は、次の通りです。まず許可証(または、許可証にある「許可の概要」欄を書き写した紙)を飼育施設に貼り付けます。続いて、施設全体・飼育個体・許可証が写ったものと、貼り付けた状態で許可証の記載内容がある程度判読できるようにクローズアップしたものと、合計2種類の写真を用意します。そして、この写真を、必要事項を記入した個体識別措置に関する書類(「様式3」)に添付して提出することになります(06年1月以降、提出先は各地方環境事務所となっています)。なお、この「様式3」の書類は、許可証の交付日から30日以内に実施しなければなりません。


*この外来生物法については、今後も変更点等があった場合は、当「蛇足」のページにて随時その詳細を取り上げていきたいと考えています。また、改正動物愛護管理法についても、詳細が確定次第、改めて記事としてまとめる予定です。